「私の名前を漢字にしてもらえませんか?」
2001年11月, ウィーンの空港免税店のレジで店員に突然そう話しかけられた。
漢字にあこがれる世界のみなさんへ
2001年、私はヨーロッパを2回、アメリカを1回訪問した。ヨーロッパでは、スペイン、フランス、スイス、オーストリアの各国に赴いた。同じヨーロッパでも異なったことばや文化をそれぞれがもっている。しかし、どの国にも共通していたのは、日本文化、東洋文化に対するある種のあこがれであった。
スペインやフランスではどこから引用したのかわからない、日本語の文章が貼りつけられたTシャツがルーブル美術館の地下売店といったしっかりしたショップで売られている。スイスではデパートの一コーナーが日本コーナーとなっている。地下の食品売場では刺身や寿司が売られている。アメリカでもシアトルではテリヤキがはやっている。
そして、ヨーロッパ、アメリカのすべての国で漢字への興味が高いということだ。特に、自分の名前を漢字にしてみたい、という願望をもつ人たちが少なからずいる。
スペイン、フランスでは観光名所の近くに中国の人たちが、名前を漢字で表現し書道で記してあげるという露店を出しているし、オーストリアでは冒頭に述べたような出来事に遭遇した。
我々は日本人として、漢字、あるいはかな文字に興味のあるみなさんへ、正しくクールな漢字を提供していきたいとの気持ちからこのウェブサイトを立ち上げることにした。
あなたの名前を漢字にすると、かなにすると、どんなかっこうになるのか、そしてそれをあなたの1つの新しいアイデンティティとしてさまざまなグッズにプリントして提供していきたい。
このウェブサイトを通じ、あなたが正真正銘の漢字フリークになり、それをきっかけとして、日本文化、東洋文化にリアリティに触れられることをお約束する。
アルファベットにあこがれる日本人へ
私が大学生だった数年前、オーストラリアからの留学生に質問されたことがある。
「なぜ日本の商品のパッケージにはアルファベットが多いのか。なぜ日本語をつかわないのか」
多くの外国人にとって、日本人のアルファベットへの過剰なあこがれは奇妙に見えるようだ。確かに、彼女(留学生)が指摘したように、日本の商品のパッケージにはアルファベットがあふれている。
例えば、カセットテープレコーダ1つとっても、日本人がつかうのに「再生」と記すべきところを「PLAY」と記してあったりする。
19世紀後半、明治維新の後、日本は急進的な欧化政策をとり、欧米の文化を次々に取り入れていった。その欧化志向の名残がいまも息づき、漢字やかなでデザインすることを "ださい" と思う日本人さえ存在する。
多くのデザイナーはアルファベットを多用したがる。
しかし、方や欧米では日本文化に対して関心をもつ多くの人たちがいる。逆転してしまったかのような光景だ。
もう一度日本人が自分の文化を見つめ直し、日本文化に造詣をもっている世界の人たちに誇りをもって正しく紹介いけるようになるための「クール」な日本文化発信ウェブサイトでもありたい。
お互いの文化に「乾杯!」
自国の文化を正しく知り、誇りをもつ。
他国の文化に理解を示し、尊重をもって接する。
それがこのウェブサイトの帰着点である。
お互いのすばらしい文化に一緒に「乾杯!」しよう。
2002年5月
株式会社かっぺ
代表取締役 岡野 大和